『河は眠らない』!

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久しぶりに開高さんの本を読みました。

『河は眠らない』

キッカケはこちらの動画(解説するので観なくていいです)。

2014年に横浜で開かれたフィッシングショーでの、村田基さんのトークショーの様子です。
その中で村田さんが紹介していたんですが、新潟県の魚沼市にイワナ釣りの聖地みたいなところがあって、そこによく通っていた開高さんの記念碑が建てられているそうです。
で、その碑に「河は眠らない」と書いてあるんだとか。
なんかまた面白いことを言ってるな~と興味を持ってAmazonで調べてみたら、同名の本がありました。

ちなみに、動画の中で村田さんが「かいこうけん」と呼んでいますが、正しくは「かいこうたけし」ですからね。
14分37秒辺りから言及されています(ルアー釣りに興味のある方は是非どうぞ)。

私としてはルアーの「鮎カラー」について喋っているシーンも好きです。
鮎の胸ビレあたりにある黄色い斑点を『追星(おいぼし)』と呼びます。
鮎の象徴みたいなもんですな。
ただ、これはどの鮎にもあるわけではなくて、海で生まれて川をさかのぼって大きくなった鮎が縄張りを持つようになってから現れてくるもの。
湖とかに住んでいる鮎にはないんです。
だから、湖で鮎を捕食しているブラックバスを釣るのにこの「鮎カラー」は本来適していないはず。
なのになぜいろんなルアーに黄色い追星が「鮎カラー」として付けられているのか?
答えは7分21秒をご覧ください(すぐに答えが出ますからネ)。

はい、前置きが長くなりました。
こちらの本ですが、もとはVHSのビデオとして販売されていたものなんですね。
開高さんと仲の良かった青柳洋一さんという写真家が、ビデオカメラマンを2人連れて開高さんとアラスカへキングサーモン釣りに行ったときの様子を映像にまとめたものらしいです。
今ならDVDで購入できます(中古しかなくてプレミアの付いた値段になっていますが)。

ジャケットに写っているのがキングサーモンです。
デカイですね~。
産卵のために川をさかのぼってきているところなので、婚姻色に赤く色づいています。

本の方は青柳洋一さん自身がフィルムカメラで撮ったものに、開高さんがしゃべっている内容を書き起こしたもの。
スタジオのフィルムロッカーで長年保管されていた写真の封印を解き、開高さん没後20年を記念して2009年に出版されたのが、このフォトエッセイです。
動画もいいですが、私はカメラが好きなので本の方を選びました。

期待通り、アラスカの雄大で美しい写真が眼を引きます。
どんなときも酒と煙草を手放さない開高さんのユーモラスな表情が垣間見えます。
針にかかったサーモンがジャンプして針を外そうとする迫力のあるファイトシーンが写っています。
(『釣りキチ三平』によるとキングサーモンはジャンプしないはずなんですがw)

そして開高さんの名言。
もちろん、こんなところにオイソレと書くわけには行きませんが、豊富な知識と経験に裏付けられた、元戦場記者にして芥川賞作家である釣り師の言葉ですから。
味があります。
説得力があります。

私はこれまで、魚釣りとは「食べるための魚を釣るもの」であって、釣ってすぐにリリースする「ゲームフィッシング」は好きではありませんでした。
ちょっと価値観が変わりました。
開高さんはリリースを勧めています。
逃してあげた魚が子を産んで孫を産んでひ孫を産んで・・・。
そんな思い出に浸りながら夜中に酒を飲むと。

キングサーモンを含む鮭の一生って、見方によってはかなり悲壮なんですね。
だって、生涯かけて海を渡り、故郷の川に戻ってきて産卵したらすぐに死んじゃうわけですから。
結婚して子供産んだら死ぬんです。

その「産卵のための遡上」というシチュエーションを狙って釣っていることも大きな要因ではあると思いますが、釣った魚をリリースすることの意義というものに思いを馳せることができました。
『河は眠らない』というフレーズも、そのへんから関連付いているようです。

最後に一文だけ引用して終わります。

だから、逃してやりなさい。ただし、見事なのがかかれば一匹は持って帰ってよろしい。

蛇足です。
開高さんの碑については新潟県のウェブサイトに載っているので紹介しておきます。
「[魚沼の風景] 開高健が好んだ銀山平の山菜めし」

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